隙あらば自分語り

140字では書き切れないあれこれ

David Bowie語り《4》

 

気がつけば2月も残り僅かになりました。この時期は三寒四温と言ったもので暖かい日も増えてくるはずが、今年はまだ寒い日が続いていて、早く暖かくなることを願うばかりです。

そして、Moonage Daydreamの公開まであと1ヶ月。桜が咲き始める頃、Bowieさんに会えるのを楽しみにしている。

 

戦場のメリークリスマス 再上映

大島渚監督の作品が今年国立機関に収蔵されることが決まっていて、商業利用が難しくなることから、最後の大規模ロードショーとして全国で再上映されている戦場のメリークリスマス

今後映画館で観られないかもしれないとなると、最後にもう一度鮮やかな映像を目に焼き付けておきたくなった。

 

シネ・リーブル梅田で半年ぶりの鑑賞。公開週の週末ということもあってか、ほぼ満席だった。

何度も観ているのに、息絶えようとしているセリアズへ俘虜たちが讃美歌を贈るシーンあたりからずっと涙が止まらなかった。

映画鑑賞が趣味でこれまでもいろんな作品を観てきたが、戦場のメリークリスマスほど観た後何日も感情がかき乱される作品はない。観るたびに感じ方が違うというのも、不思議なところである。

難解な物語であるがゆえに感想を言葉にするのが難しいので、ずっと避けてきたところではあるが、そろそろこの作品と向き合わなければと思っている。

 

1週遅れてシネマート心斎橋でも上映が始まった。なにやらこの映画館で「戦場のメリーピーチソーダ」を販売するとのことだったので、考える間もなくチケットを購入した。

思い返せば、心斎橋に来るのは3年ぶり。シネマート心斎橋が入るBIG STEPの4階には大阪BIGCATというライブハウスがあって、偶然にも、かつて追いかけていた鬼龍院さんのライブで訪れて以来だった。

 

映画館に入り、少し照れながら「戦場のメリーピーチソーダを…」と注文すると、店員さんが「どうぞセリアズと乾杯してください!」と言いながら手渡してくれた。たったその一言がめちゃくちゃ嬉しかった。心の中でセリアズと乾杯したピーチソーダは甘くて美味しかった。

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まったく違和感のない合成写真に思わず笑ってしまった。

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小さい映画館ながらとても音響が良く、また一つお気に入りの場所が増えた。去年上映された映画Ziggy Stardustを観て以来、ミニシアターが大好きになった。待合室では上映作品の紹介コーナーが充実していたりと、映画への愛が感じられて毎回足を運ぶのが楽しい。

Moonage Daydreamも、シネコンの上映が終わる頃にミニシアターでの上映が追加されないかと期待しているが、どうだろうか。

 

Welcome to the Blackout

先月購入した1978年のライブアルバム《Welcome to the Blackout》。Bowieさんのキャリアの中でも一番と言っていいほど78年頃の声が大好きなので、ずっと聴くのを楽しみにしていたアルバムの一つ。好きな曲をいくつか紹介させてほしい。

 

ライブが始まる前 最高潮に達する熱気をいきなり鎮めるかのように、冷たいWarszawaが流れてくる。これをセトリ1曲目に持ってくるのが好き。

次の"Heroes"は、スタジオ音源よりもずっと力強くそれでいて優しい伸びやかな声をしていて、聴いてるだけでじわ〜っと心が満たされる。

 

ライブ版を聴いてから急に好き度が上がった曲も多い。例えば、Blackout。このアルバムの表題「Welcome to the Blackout」と呟いて始まり「Blackout!」とシャウトして終わるのが最っ高にかっこいいから聴いてほしい。

Soul LoveZiggy Stardustに収録された曲。基本的にBowieさんの音楽は発表当時の音源が頂点であると思っているが、Soul Loveに関してだけは78年の音源が涙が出るほど好きだ。曲の後半 La la…と盛り上がっていくところを聴くと、多幸感でいっぱいになる。

Alabama Songは1930年代に描かれた詩が元になっているカバー曲で、Bowieさんの色気と妖しさを含んだ声がたまらない。曲自体も中毒性が高くて、"I tell you we must die"のところをいつも一緒に歌ってしまう。

 

このアルバムの最後、Stayの終わりからそのままRebel Rebelのイントロに入るという、ライブならではの演出で毎回涙が出そうになる。

ここで挙げた以外にも、数えきれないくらい好きが詰まったアルバムだった。ライブアルバムというのはその音源が録音されたときの空気感まで閉じ込められているから、聴くだけでその時代に触れられる気がして幸せだ。

 

The Buddha of Suburbia

1ヶ月に1枚スタジオアルバムを聴くという目標。2月はずっと《The Buddha of Suburbia》を聴いていた。キャリアの中でも少し異色な作品で、元々サウンドトラックとして作られて、唯一日本盤が出ていないアルバムとのこと。

結論から言うと、このアルバムもまた好きな曲が多すぎる。

 

まず1曲目の Buddha of Suburbia。空気が冷たくなってきた秋を連想させるような曲。Music Video含めて好きで、ロングコートを着て歩くBowieさんがひたすら美しい。

Bleed Like a Craze, Dadは、shine…shine…shine…と反復したあとに続く早いテンポの歌詞がかっこいいので是非意識を向けて聴いてほしい。

 

Strangers When We Meetは、Bowieさんに完全に落ちるきっかけになった曲。後のアルバム1.Outsudeにもリアレンジされて収録されているが、The Buddha of Suburbia収録バージョンは歌声がなめらかな印象がある。

それにしても、Bowieさんの声はなぜこれほど優しいのだろう。1音1音が美しくて、いつ聴いても涙が出る。この曲のことを語り始めると止まらないので、続きはまた別の機会にでも書きたいと思う。

次の曲のDead Against Itは、電子音楽とBowieさんの優しい声の融合が新鮮でこれもまた大好きだ。

 

Black Tie White Noiseに続き、このアルバムもインストゥルメンタルが数曲入っている。Ian Fish, U.K. Heirが特に好きで、太陽の光が差し込んだ青くて澄んだ海の中にいるような気分になる。

 

1993年に2枚のアルバムを出しているが、どちらも今までとは違った作品になっていて、改めてBowieさんの音楽は面白いなと思う。

何度聴いても飽きなくて、1曲1曲が宝物のようで、これからもずっとBowieさんの音楽に魅了され救われていくんだろう。

 

気づけば今までで一番語ってしまいました。

それでは、また次の記事で。